YouTubeが動画で大学の講義を視聴して、実際に単位を取得できるサービスを2023年3月に開始しました。
このサービスでは非常に安価に大学の単位を取得でき、満足いくまで学べるものとなっています。
YouTubeが開始した新たな教育サービスである「Study Hall」について解説していきます。
YouTubeで大学の単位が取得できる仕組みとは?
YouTubeで大学の単位が取得できる仕組みは、YouTubeのグローバルヘッドオブラーニングでマネージングディレクターであるキャティ・カーツ氏が、アリゾナ州立大学と教養系のYouTubeチャンネルである「CrashCourse」との提携によって実現しました。
この提携によって、大学の単位を取得するためのプログラムである「Study Hall」がリリースされました。
Study Hallで学べる内容
現在Study Hallで学習できるのは、大学1年目で受講する「最も基本的なコース」とされる以下の4つのコースです。
- 人間のコミュニケーション入門
- レトリックと構成
- 大学数学
- 1865年までのアメリカの歴史
これらの授業は実際にアリゾナ大学で実際に教えている教員がYouTube上で講義を行います。
講義を受けるためには、申請やGPA(成績評価)などは必要ありません。
基本的には誰でもYouTube上でアリゾナ大学で実際に行われている講義を受けることが可能です。
今後は2025 年 1 月までに利用可能なコースを12へ増やす予定となっており、大学の1年目に取得できる全てのカリキュラムをYouTube上で提供できるようになります。
1つのコースを受講するための料金は一律25ドルとなっています。
単位を取得するためには4つのコースにサインアップして視聴することによって、単位移行の資格を得ることができます。
また、実際に単位を取得する場合にはオプションで400ドル必要になるとのことです。
全てのコースは不明点などはメールで質問することが可能です。
なお、YouTubeで学べる大学の講義は大学1年生全体の単位を取得するものとなっており、現在のところ、大学卒業までに必要な単位全てを取得できるわけではありません。
アリゾナ州の公立大学の平均授業料を3分の1以下に
YouTubeで単位が取得できるこの仕組みには確かにオプションで400ドルの料金が発生します。
しかし、2023年3月7日以前にコースに登録している学生は、コースごとに350ドルの特別奨学金を受け取ることができます。
そのため、非常に安価に単位を取得することが可能です。
そのためStudy Hallでの学費はアリゾナ州の公立大学の平均授業料の3分の1以下で、さらにアメリカ全体の私立大学の学費よりも90%程度安くなっているとのことです。
また、大学のリアルな講義は基本的に1回しか受講することができませんが、YouTubeで授業が視聴できるこの仕組みでは、受講者が満足いくまで何度でも視聴することができるという点では、実際の講義よりも優れているといえるでしょう。
無料で視聴できるコンテンツも
Study HallはYouTubeチャンネルを用意しており、チャンネルでは無料で次のようなコンテンツを提供しています。
- How to College:大学入学後の学生生活についてまとめた動画
- Fast Guides to Electives and Majors:大学の専攻などの情報をまとめた動画
授業だけでなく、大学生活に必要な情報提供もYouTubeチャンネルにて無料配信しています。
日本の大学授業が視聴できるYouTubeチャンネル8選
単位が取得できるわけではありませんが、日本でも大学の授業が無料で視聴できるYouTubeチャンネルが存在します。
おすすめの8つのチャンネルは次の通りです。
チャンネル名 | 動画の内容 |
東大TV | 東京大学で開催された様々な公開講座や講演会のアーカイブ動画 |
京都大学人社未来系発信ユニット | コロナパンデミックを共通テーマに京都大学人文社会科学分野の講師が発信 |
早稲田大学体験Webサイト | 早稲田大学各学部の模擬講義が公開 |
同志社大学入学センター | 「〇〇学とは何か」を説明する動画を中心に模擬講義が充実 |
京都芸術大学通信教育課程 | 実際に行われる講義と同じレベルの講義動画が充実 |
昭和音楽大学 | 「楽典」と「ポピュラー音楽理論」について各8回ずつの講義動画を配信 |
東京理科大学 | 大学の各学部の模擬講義が視聴可能。 |
東京外国語大学 | 言語や文化にまつわる講演や講義のアーカイブ動画を100本以上公開 |
日本の大学の講義は単位の取得はできず、動画の目的も受験生を集めるために配信されています。
それでも、生の大学の講義を視聴できることは間違いありません。
全ての動画が無料で視聴できるので、興味のある方はチャンネルを覗いてみてください。
まとめ
YouTubeはアリゾナ大学と提携して、大学の単位が取得できるサービスを始めました。
これまでは「大学で学ぶにはお金がかかる」というのが当たり前のようになっていましたが、YouTubeのサービスであれば、公立大学の3分の1、私立大学の10分の1程度の非常に安い価格で大学で学ぶことができます。
日本では単位を取得できるほどではありませんが、無料の講義配信なども行われています。
東大生の親の年収の半分近くは1,000万円以上というデータがあるほど所得の格差が教育格差になっている現代ですが、YouTubeの試みによって、お金をかけなくても大学で学べる日が日本でもやってくるかもしれません。
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Written by アクラボ Brandマーケティング Room.