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Published on: コラム

SES とは?契約形態の違いと働くメリット・デメリット、働きやすい職場を見つけるポイント

SESとは、クライアントに対してシステム開発や保守などの役務を提供するサービスのことです。準委任契約として請けている業務全般のことを指しますが、その他の契約形態との違いをきちんと押さえておくことが大事だといえます。

また、SESの契約形態で働くことのメリット・デメリットを理解したうえで、自分に合った働き方ができるかを検討してみましょう。この記事では、働きやすい職場を見つけるポイントを含めて詳しく解説します。

SESとは?

SESとは?

SESでの働き方を自身のキャリアに活かしていくには、まずは基本的な部分を押さえておく必要があります。SEの平均年収を含めて解説します。

SESはIT業界における契約形態の1つ

SES(System Engineering Service)とは業務委託契約の一種であり、システムエンジニアやPM(プロジェクトマネージャー)やディレクター、その他の職種も含めて準委任契約で請けている業務全般を指します。ソフトウェアやシステムの開発、保守・運用などの業務において役務を提供する契約です。

IT業界での契約形態には、「成果物を納品することで報酬を受け取る契約」と「労働に対して報酬を受け取る契約」の2種類が存在します。SESは後者の契約形態となっており、成果物に対する納品義務は設けられていません。

SEの平均年収

厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査(2020年)」によれば、「システムコンサルタント・設計者」の平均年収は「約690万円」となっています。男女別の平均年収は、男性が約734万円、女性が約536万円です。

SESで働くSE(システムエンジニア)の場合、一般的な平均年収は新卒~3年目で約300~350万円、4~7年目で約350~400万円、8年目以降で約400~480万円程度といった傾向が見られます。個々人のスキルや経験などによって年収は異なりますが、1つの目安として押さえておきましょう。

SESと他の契約の違い

SESは契約形態の一種であるため、他の契約とどのように違うのかを理解しておく必要があります。その他の契約形態との違いを表にまとめると、次のとおりです。

契約形態特徴
準委任契約   クライアントに役務を提供する契約形態であり、業務に関する指揮命令権はベンダーにある。
請負契約決められた期間で成果物を提出することを約束した契約。
派遣契約業務に関する指揮命令権がクライアント側にある。一般派遣(有期雇用派遣)、無期雇用派遣(常用型派遣)、紹介予定派遣がある。
委任契約法律行為を行うときに結ぶ契約。SESで行う業務に法律行為は含まれない。

それぞれの契約形態について、さらに詳しく解説します。

SESは準委任契約と同じ意味

SESの契約形態は、準委任契約と基本的に同じ仕組みだといわれます。準委任契約とは、クライアントが法律行為以外の業務をベンダー(サービスを提供する側)に依頼する契約です。

業務に関する指揮命令権はベンダー側にあり、仕事を完成させる義務は負わないものとなっています。そのため、残業を行うことが少なく、勤務時間をうまくコントロールできる働き方ができるといえるでしょう。

請負契約との違い

請負契約とは、仕事の完成を約束することによって、その成果物に対して報酬が支払われる契約形態です。そのため、決められた期間内に仕事が完成しなければ、報酬を受け取れません。

SESでは、決められた期間において技術や労働力を提供する契約であるため、請負契約とは意味合いが異なります。

派遣契約との違い

派遣契約とは、労働者が派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業で働く契約形態をいいます。請負契約のように成果物に対して報酬が支払われるのではなく、労働力を提供することで報酬を受け取る仕組みです。

SESでは指揮命令権がベンダー側にありますが、派遣契約の場合はクライアント側にあるのが大きな違いとなります。また、派遣契約には無期雇用派遣(常用型派遣)と一般派遣(有期雇用派遣)と紹介予定派遣があり、無期雇用派遣が専門性の高い一部の業種に限られるのに対し、一般派遣はさまざまな業種に対応しています。

また、働き方の面において無期雇用派遣では従業員として採用している労働者をクライアント企業に派遣(常用型派遣)となりますが、一般派遣は登録をしている労働者をクライアント企業に派遣(登録型派遣)する形態です。

SES企業の場合、無期雇用派遣を行う企業が多い点も押さえておきましょう。

委任契約との違い

委任契約とは、法律行為を行うことを委託するための契約です。弁護士や税理士など、法律や契約行為に関わる業務を任せるときに結ぶケースが多いといえます。

SESで行う業務には法律行為は含まれないため、委任契約ではなく準委任契約になります。

SES契約で働く4つのメリット

SES企業で働くことは、多くのメリットがあります。ここでは、4つのメリットについて紹介します。

未経験でもIT業界を目指せる

SESであれば、経験や学歴などに関わらず、広く人材募集を行っている企業が数多くあります。そのため、未経験の方であってもIT業界を目指せるのは大きなメリットだといえるでしょう。

IT人材が不足している企業は多いので、複数の企業からプロジェクトを選ぶことができ、自分に合った働き方を見つけやすいはずです。「とにかくIT業界に挑戦してみたい」という方は、SESでの働き方を検討してみましょう。

多くの企業とつながりができる

SESの形態で働くと、プロジェクトによって勤務先が変わるので、さまざまな環境で仕事ができるというメリットがあります。ご自身が得意とする分野だけでなく、多くのプロジェクトに参加をすることで、多くの企業とのつながりを作ることが可能です。

業務を通じて、さまざまな企業に人脈を築くことは、将来のキャリアアップに役立つといえます。自らのスキルをクライアントや他の企業にアピールできれば、転職を行う際に有利に働くはずです。

幅広い専門スキルの習得が可能

携わるプロジェクトによって、求められる技術などは異なります。そのため、多くのプロジェクトを経験することで幅広く、専門的なスキルや知識を習得できるでしょう。SESの場合、1つの仕事を続けるわけではないため、任された業務が終了すれば別のプロジェクトに参加することになります。

さまざまな環境で経験を積むことによって、キャリアアップにつなげていくことができ、多くの分野で活躍の機会を得ていけるようになります。

勤務時間をコントロールしやすい

SESのメリットとしてあげられる点は、勤務時間をコントロールしやすいことです。SESでは決められた時間内に労働力を提供するといった契約形態になっているため、残業などを強いられることがありません。

残業をさせれば、その分だけクライアントがコストを負担しなければならず、基本的には残業のない環境で働くことができます。残業が少ない分だけ、業務へのクオリティは求められることになりますが、無駄のない働き方をしたい方にとって向いている働き方だといえます。

SES契約で働く3つのデメリット

SES契約で働く3つのデメリット

SESの契約形態で働くことのメリットは多くありますが、一方で気をつけておきたい点もあります。どのようなデメリットがあるのかを紹介します。

労働環境は案件に依存する

SESの場合、どのような労働環境になるかは、実際に常駐先で働いてみないとわからない部分があります。プロジェクトに関する内容などは事前に知らされていても、職場の雰囲気や人間関係などは働いてみなければ見えてこないところがあるでしょう。

常駐先によっては、人間関係などにストレスを感じてしまう場合もあるので注意が必要です。逆に、良い雰囲気のプロジェクトに携われたとしても、プロジェクトが終了すれば別の常駐先の環境に慣れなければならないため、負担を感じることもあります。

システムの完成まで携われないことがある

SESの契約形態で働く場合、プロジェクトの下流工程を中心に任されることが多いといえます。下流工程とは、テストやコーディングなどを指します。

そのため、システム開発や設計などの上流工程の業務を経験したいと思っている方にとってはやりがいを感じられない部分もあるでしょう。大きな案件であっても、その一部分を任されることが多く、システムの完成まで携われない場合もあります。

下流工程の経験ばかりを積んでも、上流工程の知識や経験を積む機会が少ないため、自分が望むキャリアを築けるのかをよく検討する必要があるでしょう。

スキルを磨かないままでいると仕事の幅が狭まる

スキルを磨かないまま年齢だけを重ねてしまった場合、SESの働き方では仕事の幅が狭まってしまう恐れがあります。スキルや経験をあまり必要としないプロジェクトについては、人材育成を目的として若い方に業務が任されるケースも多く、ある程度の年齢になると選択できる案件数が減っていく可能性があるでしょう。

高いスキルや経験を積んでいれば、多くの職場で求められる人材となりますが、逆の場合は不利な環境で働くことになります。将来のキャリアアップや自己研鑽を踏まえたうえで、計画的に働いていくことが大切です。

SESで働くときの適性

SESで働くときの適性

SESで働くことが向いている方がいる一方で、あまり適さないタイプの方もいます。どのような傾向が見られるのかを解説します。

SESが向いているタイプ

SESの契約形態で働くことを検討しているなら、自分に合っているかをきちんと考えておく必要があります。SESに向いている方のタイプとしては、次のような特徴があげられます。

SESで働くことが向いているタイプ

・IT業界で初めて働こうとしている方
・さまざまな案件や環境で、実力を試したい方
・大手SIer企業や他のSES企業において人脈を築きたい方
・残業の少ない職場を探している方

SES企業はIT業界が未経験の方であっても働けるチャンスがあるため、異なる業界から転職することを検討している方は向いています。学歴や経験を問わない企業も多いので、IT業界で働くチャンスをつかみたい方はチャレンジしてみましょう。

また、SESの働き方はプロジェクトごとに求められる知識や経験はさまざまなので、自分の実力を試してみたいという方にもおすすめです。多くのプロジェクトに携わることで、スキルアップを図っていけるでしょう。

そして、大手Sler企業や他のSES企業で人脈作りをしたい方にも、SESは向いています。Sler(エスアイヤー)とは、System Integrator(システムインテグレーター)の略称であり、システム開発や運用などの受託開発を行う企業のことです。

業界内の多くの企業で働く機会を得られるため、長く続けるほど良い人脈を築ける可能性があります。自分のスキルを大手Sler企業や他のSES企業にアピールすることで、転職時に有利に働く部分があるはずです。

さらに、残業の少ない働き方を求めている方にもSESは向いています。SESの契約形態はあらかじめ労働時間が決められているため、コスト面などから残業を求められることが少ないでしょう。

仕事とプライベートのバランスを重視したい方にとって、働きやすい環境を手に入れられるといえます。上記のような部分に当てはまる方は、前向きにSESで働くことを検討してみましょう。

SESが向いていないタイプ

一方、SESでの働き方が向いていないタイプとしては、環境の変化にストレスを感じてしまいやすい方があげられます。SESの場合、プロジェクトが終わると別の常駐先で仕事を行うことになるため、人間関係や職場の雰囲気はその都度変わります。

そのため、変化にうまくついていけない方にとって負担を感じる部分が大きいといえるでしょう。

働きやすい企業を見つけるポイント

働きやすい企業を見つけるポイント

自分に合った働きやすい企業を見つけるには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。ここでは3つの点から、働きやすいところを探すポイントを解説します。

適正な報酬体系がある企業を選ぶ

働きやすい企業を見つけるには、適正な報酬を支払うところに勤めることが大切です。報酬が業務内容に見合っていなければ、だんだんとモチベーションが低下する理由になるため、就職の段階でしっかりと確認しておきましょう。

明確な報酬体系がある企業であれば、報酬面での不安を抱かずに済み、仕事に集中できる環境を手に入れられるはずです。他社との報酬などと比較をして、適正な報酬を支払う企業で働きましょう。

自社製品・サービスを積極的に生み出しているか

SESでの働き方を長く続けたい場合は、勤務先の企業に将来性があるかをチェックしておくことも大事です。SESの事業だけでなく、自社開発の製品やサービスの提供を行っているかという点も確認しておきましょう。

事業を幅広く行っており、経営基盤がしっかりとしていれば、企業としての将来性に期待ができるでしょう。報酬や人材育成などの面で安心感を抱けるので、結果として働きやすい環境を整えることにつながります。

評価制度についても確認しておく

クライアント企業で働くスタイルのSESでは、勤務に関する評価が曖昧になるケースが多いといえます。そのため、しっかりとした評価制度を設けているかや、キャリア支援に積極的であるかといった点は企業を選ぶうえで重要な点です。

定期的な面談を実施していたり、勤務に関する評価基準が明確であったりする企業であれば、長く働き続けることに問題はないでしょう。独自の福利厚生制度や休暇制度などを設けているかといった点もあわせてチェックしてみてください。

まとめ

まとめ

SESでの働き方は、IT業界未経験者でも挑戦できたり、さまざまな案件に携われたりするメリットがあります。業務を通じて幅広い経験や知識を得たいという方にとって、適した選択だといえるでしょう。

一方、日頃からスキルアップを意識していなければ、年齢を重ねるにしたがって仕事の幅が狭まる場合もあるので注意が必要です。SESの事業を行う企業によって、報酬体系やキャリアパス支援などの取り組みは異なるので、他社と比較をしながら自分に合った企業を見つけてみましょう。


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Written by アクラボ Brandマーケティング Room.

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