Skip links
Published on: コラム

未経験でもエンジニアになれる?職種・仕事内容・転職までのステップ

エンジニアという職種に興味はあっても、未経験でもなれるのか気になる方は多いでしょう。スキルや経験が重視される仕事ではありますが、きちんと対策を行えば未経験でもエンジニアへの転職は可能です。

この記事では、IT業界未経験の方がエンジニアとして転職するために必要なこと、職種の違いや仕事内容、転職先を選ぶときのポイントなどを詳しく解説します。

業界未経験者でもエンジニアになれる2つの理由

業界未経験者でもエンジニアになれる2つの理由

IT業界での経験がなくても、エンジニアに転職することは可能です。ここでは、業界未経験者がエンジニアになれる理由を2つ紹介します。

理由①IT業界全体でエンジニアが不足している

エンジニアへの転職を考えるとき、まずIT業界における動向を把握しておくことが大事です。経済産業省が公表している「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(2016年)」によれば、2030年には約40~80万人のIT人材が不足するとされています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などで多くのIT人材が必要とされる反面、日本では今後も労働人口の減少が見込まれており、IT業界は人材不足の課題を抱え続けることが推測できます。また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が取りまとめた「DX白書2021 第3部 デジタル時代の人材」によれば、IT人材に関する質・量が約9割不足しているという回答結果が見られます。

IT業界ではさまざまな人材が必要とされていますが、なかでもエンジニアの不足は業界としても大きな課題だといえるでしょう。今後は経験者だけでIT業界を維持していくことが難しくなるため、未経験者の採用や人材育成に積極的に力を入れている企業が多くなっています。

労働人口の減少といった社会的な背景もあり、IT業界においては売り手市場が続くものと予測されます。そのため、未経験であっても転職できるチャンスがあるのです。

理由②エンジニアの採用に積極的な企業が多い

IT人材の不足が今後も懸念される情勢において、各社ともエンジニアの採用に積極的な傾向が見られます。求人サイトなどでは「未経験者歓迎」といった文言が多く見られ、前向きに受け入れている姿勢がうかがえるでしょう。

応募者の不安を払拭するために、採用後の研修制度が充実していることをアピールしている企業も目立ちます。未経験者として採用されても、エンジニアとして必要なスキルや知識は、働きながら学んでいける体制が整えられていることが多いでしょう。

また、未経験者を広く受け入れている影響から、応募者の経歴は多様化しています。さまざまな経歴を持った人材が応募する業界であるため、未経験者でもエンジニアとして踏み出しやすい環境にあるといえます。

未経験者でも転職しやすい7つの職種

未経験者でも転職しやすい7つの職種

エンジニアとして転職することを決める段階では、「どの職種に応募するか」を検討しておく必要があります。一口にエンジニアと言っても、仕事内容の違いによって応募できる職種はさまざまです。

IT業界未経験者でも比較的、チャレンジしやすい職種についてまとめると、以下のとおりです。

職種
仕事内容
プログラマー
システムエンジニアが作成した仕様書に基づいて、プログラミングを行い、システムが正常に動作するように開発や修正に取り組む。
システムエンジニア(SE)
顧客の要望を聞き取りながら、システム開発における企画から納品までを担当する。
ネットワークエンジニア
インターネットにおける設計・構築・運用・保守を担う。
フロントエンドエンジニア
ユーザーがWebサイト上で閲覧する部分を開発する。
サーバーエンジニア
サーバーにおける設計・構築・運用・保守を担う。
テストエンジニア
システムの品質を担保するために、テストの計画や実施、不具合の解消などを担当する。
フィールドエンジニア
客先に出向き、システムやハードウェアの設置・保守・修理などを担う。

それぞれの職種の違いや仕事内容について、さらに詳しく解説します。

プログラマー

プログラマーとは、「プログラミング言語」と呼ばれるコンピューターを動かすための言語を活用して、さまざまなシステムやアプリケーションを作成する仕事です。主な業務としては、システムエンジニアが設計した仕様書に基づいて、システムが正常に動作するようにプログラミングを行います。

また、開発を担うだけでなく、バグの修正に関してもプログラマーの役割です。開発するものは、スマホアプリから金融機関が用いる大規模システムまで、広い範囲にわたります。開発を行うものによって、使用するプログラミング言語は異なるため、実際に仕事を進めていくうえで知識の習得が欠かせません。

プログラマーという職種は、エンジニアのなかでも最も基礎的な作業を担当するポジションだといえるでしょう。顧客と直接接することはほとんどなく、プログラミング言語を学べばすぐに仕事をすることが可能です。

そのため、IT業界未経験者であっても比較的、チャレンジしやすい職種だといえます。

システムエンジニア(SE)

システムエンジニアとは、ソフトウェアの設計や開発を行う仕事です。顧客が解決したい悩みや必要とするシステムをヒアリングし、それを基に仕様書を作成します。

開発における上流工程(要求分析・要件定義・基本設計・詳細設計など)を担い、実際の構築はプログラマーが担当します。ただし、企業によってはシステムエンジニアとプログラマーの区別を付けず、単にシステムエンジニアとして募集をかけている場合があります。

開発における予算管理や人員配置、進捗管理などの業務を担うこともありますが、未経験者がいきなり仕様書の作成などを任されることは少ないでしょう。プログラマーとしてある程度経験を積んでから、システムエンジニアになるのが一般的だといえます。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアとは、情報システムを動かすインフラのなかでも、主にインターネットに関する部分を専門的に扱う職種です。サーバーエンジニアが構築したサーバーを土台として、ネットワークを構築する仕事だといえます。

ネットワークエンジニアの仕事は、要件に沿ったネットワークの「設計」、設計の仕様に沿った形でネットワーク機器を接続する「構築」、利用開始後の管理にあたる「運用」、トラブルに対する復旧を担う「保守」の4つに分けられます。他のエンジニアに比べると、プログラミングを行う機会は少なく、高度なプログラミングの知識を求められる機会は少ないでしょう。

マニュアルに沿って作業を進める部分が多く、仕事を通じて必要な知識を得ていけばよいので、未経験者でもチャレンジしやすい職種です。

フロントエンドエンジニア

フロントエンドエンジニアとは、Webサイトやアプリケーションのフロントエンドの設計・構築・カスタマイズを行う業務を担う職種です。フロントエンドとは、ユーザーがWebサイトなどに直接触れる部分を指します。

たとえば、ユーザーがWebサイトを閲覧する際には、Webブラウザを利用することになりますが、このWebブラウザの部分がフロントエンドに該当します。Webデザイナーが作成したサイトデザインを基に、プログラミング言語を用いてWebブラウザ側の設計や構築を行うのが主な業務です。

Webデザイナーが作成したデザインをWebサイトに正しく表示されるのが、フロントエンドエンジニアです。取り扱うプログラミング言語は、HTML・CSS・JavaScriptなど比較的扱いやすいものであるため、未経験者でも挑戦しやすいといえます。

サーバーエンジニア

サーバーエンジニアは、サーバーの設計・構築・管理・保守などの役割を担う仕事です。サーバー同士をネットワークで接続するのが主な役割であり、サーバーダウンといったトラブルが発生したときには、システムの復旧も行います。

サーバーエンジニアになるための特別な資格はありません。そのため、「未経験可」とする募集が多い職種であり、チャレンジしやすいのが特徴だといえます。サーバーやセキュリティに関する基礎的な知識をあらかじめ身につけておくと、仕事を進めやすくなるでしょう。

テストエンジニア

テストエンジニアとは、システムが仕様書に書かれてあるとおり動作し、バグやエラーなどが発生していないかをチェックする職種です。テストの計画設計・実施・結果確認・分析作業などの役割を担います。

システムの品質に問題があると、後からトラブルにつながってしまうだけなく、リコールや損害賠償にまで発展するのでさまざまなケースを想定してチェックを行う必要があります。テストエンジニアの業務範囲は企業によって異なるため、単にテストの実施のみを任される仕事であれば、未経験者でも挑戦しやすいはずです。

フィールドエンジニア

フィールドエンジニアとは、直接クライアントの元に出向き、ハードウェアやシステムの設置・保守・修理などの役割を担う仕事です。パソコンや計測システムなど、基本的に自社で販売する製品が対象となります。

単にITに関する知識があればよいというわけではなく、顧客と円滑なコミュニケーションを取る能力や課題発見のスキルなどが問われる仕事です。フィールドエンジニアは自社製品について深く理解しておく必要がありますが、入社時点では一般的なITの知識があれば問題ありません。

あらかじめ学習をしておくなら、ITパスポート試験(IP)や基礎情報技術者試験などの国家資格を独学やスクールに通うなどの形で、学んでおくとよいでしょう。

未経験者がエンジニアになるまでのステップ

未経験者がエンジニアになるまでのステップ

エンジニアの職種について把握したら、次は具体的にどのようなステップで、エンジニアを目指していけばよいかをチェックしておきましょう。ここでは、3つのステップに分けて解説します。

ステップ①希望する職種を決める

まずエンジニアを目指すときには、先に紹介した職種の中から自分に合ったものを選ぶことが大切です。仕事内容などから、将来的にどのような分野で活躍したいかをイメージしてみましょう。

しかし、IT業界未経験者にとって細かな部分の違いまでを比較するのは難しいため、「プログラミング言語を習得したいからプログラマーになろう」「お客様と直接関わりたいからフィールドエンジニアになりたい」といった大まかなイメージで構いません。

具体的な職種の絞り込みは、この後のステップを通じて徐々に決めていけばよいので、初めの段階ではエンジニアの職種を一通り見たうえで、自分に合いそうなものをいくつか候補として立ててみましょう。

ステップ②関連する資格取得を目指す

次に、興味のある職種に関して資格があるほうが有利なものは、学習を進めることを考えてみましょう。プログラミングやITパスポート試験などの学習を通じて、自分に合った職種であるかを見極めやすくなりますし、資格を取得することで応募時のアピールポイントにもなります。

また、企業側としても完全にITの知識がない人材を採用するよりも、少しでも関連した資格の学習を行っている人材を積極的に採用したいという事情があるでしょう。プログラミングスクールに通ったり、独学でも国家資格の取得に向けて学習したりしていれば、未経験であっても応募先企業に熱意を伝えられます。

どのような資格の取得がよいかは、応募を想定している企業の求人情報などを確認し、求められているスキルをチェックしてみましょう。

ステップ③スキルシートを作成する

スキルシートとは、IT業界などの職種への転職を希望する場合に、履歴書や職務経歴書などとあわせて提出する書類をいいます。具体的には、プロジェクト内容や作業期間、業務内容、ポジション、使用言語などについて記載するものです。

ただし、IT業界での経験がない方の場合は必ずしも提出する必要はありません。応募前に取得しているIT系の資格を記載したり、プログラミングに関する学習の成果などをまとめたりしてみるとよいでしょう。

また、前職でのリーダー経験やチームでの取り組みなどがあれば、IT業界でもそれらのスキルを生かせることを自らPRしていくことも大事です。他の応募者との差別化を図れる部分でもあるため、応募先企業が求める人材像を事前にチェックしたうえでスキルシートをまとめてみましょう。

未経験者が学習するのにおすすめのプログラミング言語と仕事内容

未経験者が学習するのにおすすめのプログラミング言語と仕事内容

「プログラミング言語を学んでみよう」と思っても、さまざまな言語があるため、志望する職種に紐付けて学習を進めていくことが大切です。ここでは主に5つに分けて、プログラミング初学者におすすめの言語と、どの職種に活かせるのかを解説します。

HTML/CSS|Webページの構築・デザインに携われる

「HTML」と「CSS」は、主に表示に関するプログラミング言語です。HTMLはWebサイトの内容を表示させるものであり、CSSはWebサイトの見た目(横幅やフォントサイズなど)を整えるために用います。

Webサイトの作成においては、HTMLやCSSがなければ始まらない部分があるため、どちらの言語も需要があります。特にフロントエンドエンジニアを志望される方で、この2つのプログラミング言語を習得していれば、転職が有利になるでしょう。

JavaScript|Webフロントエンドの開発に携われる

JavaScriptは、Webサイトに動きをつける(ボタンをクリックすると特定の動きをするなど)ためのプログラミング言語です。HTMLやCSSと同じように、Webサイトの作成には必要とされるものであり、今はWebサイトに動きがあることが当たり前なので、多くの企業で求められるスキルです。

フロントエンドエンジニアとしてだけでなく、バックエンドエンジニアとしても求められるスキルなので、両方のシステムに携われる人材への需要が高まっています。フロントエンドエンジニアを志望する場合は、HTMLやCSSに加えて、JavaScriptも習得しておくと転職先を見つけやすくなるでしょう。

Ruby/PHP|Webアプリ開発に携われる

「Rudy」はWebサービスを構築するために必要とされるプログラミング言語です。JavaScriptがWebサイトの見た目に関する部分を整えるために必要な言語であるのに対して、Rudyはサーバーなどの目には見えない部分の処理を行う言語となります。

「PHP」も同様の働きをする言語ですが、初学者にとっては「記述量がPHPよりも少ない」「日本語の教材が多い」「RudyだけでWebサイトからスマホアプリまでさまざまな開発ができる」などの理由から、Rudyを優先的に学習してみるとよいでしょう。RudyやPHPをよく使用するエンジニアの職種としては、バックエンドエンジニアやネットワークエンジニアなどが挙げられます。

Python|AIや機械学習に携われる

昨今ではAIに関する技術の発展から、エンジニアになるなら「AIに携わりたい」と考える方もいるでしょう。「Python」を用いれば、AIや機械学習に携わる仕事を行えます。

機械学習とは、機械が人間と同じように自分で考えて作業を行うシステムを開発することです。AIに大量のデータと分析手順を学習させることによって、外形上はコンピューターが自分で考えて作業を行っている状態を生み出せます。

Pythonはシンプルなプログラミング言語なので、初学者でも学びやすいのが特徴です。AIに興味がある方や高収入を狙いたい方におすすめのプログラミング言語だといえます。

Java|業務システム開発に携われる

「Java」は初学者には難しい言語ですが、システム開発においては汎用性の高いものであるため、学んでおいて損はないといえます。Javaを習得することによって、金融機関の取引システムや運送会社の配送システムなどの開発が行えます。

また、スマホアプリやゲーム開発などにも使用できる言語であり、WindowsやMacなどのOSにかかわらず、どのようなシステムでも使えるのが特徴です。つまり、Javaに関するスキルを習得することで、活躍の場は一気に広がります。

特に、システムエンジニアやネットワークエンジニアといった職種ではJavaを頻繁に使用するので、これらの職種を志望される方はJavaの習得を検討してみましょう。

未経験者が転職先を選ぶときに押さえておきたい5つのポイント

未経験者が転職先を選ぶときに押さえておきたい5つ

IT業界未経験者が転職先を選ぶ際には、入社後のミスマッチを防ぐためにも、事前にいくつかのポイントを押さえておく必要があります。5つのポイントに分けて、それぞれ解説します。

上流工程の仕事に携われるか

プログラミング言語の基礎を学んでエンジニアとして転職しても、「現場ではバグの修正やエラーチェックの業務しか任せてもらえない」といったケースはめずらしくありません。たしかに、未経験者として転職し、エンジニアとしての最初の仕事がテスト業務という事例は多いでしょう。

経験を積むという点では、他の人が書いたプログラムをチェックし、開発作業に一連の流れを学ぶ意味はあります。しかし、ある程度の経験を積んだにもかかわらず、いつまでも検証作業といった下流工程の仕事しかさせてもらえない場合もあるので転職時には注意が必要です。

転職先の求人内容だけでは分からない部分もあるので、面接時に直接キャリアパスについて質問をしたり、大きな企業であれば転職サイトなどに社員の口コミなどが掲載されていたりするので事前にチェックしておきましょう。

必要な研修制度は整っているか

未経験者として転職する場合、転職先の企業がしっかりとした研修制度を用意しているかはあらかじめチェックしておきたいポイントです。ソフトウェアやハードウェア、ネットワークの仕組みに関する入門的な部分に始まり、開発全体の流れ、実際のアプリ開発やシステム構築に関する研修をその都度行ってくれるのかを確認しておきましょう。

研修方法は企業によって異なりますが、自社で研修をあまり行わない場合、外部機関と連携して研修を行っているかなどチェックしておきたい点です。応募にあたっては研修制度ができるだけ充実している企業を選び、面接時にもよく確認しておくことが大事です。

給与が仕事内容に見合っているか

エンジニアの仕事は業界全体が人材不足の状態にあるため、極端に給与が少ないといったことは少ないといえますが、「仕事量と給与が釣り合っていない」と感じると、不満が溜まりやすくなるでしょう。他の企業や業界平均と比較して、給与が安すぎないかを事前にチェックしておくことは大切です。

求人情報を確認して、給与や賞与、昇給などに関する部分を確認しておきましょう。また、どのような人事評価制度を採用しているかも確認しておくと、働き始めてから安心できるといえます。

ポテンシャル採用を行っているか

IT業界では実務経験が重視されますが、未経験での転職を考えるなら、ポテンシャル採用を積極的に行っている企業を選んでみましょう。ポテンシャル採用とは、求職者の現在のスキルよりも潜在能力を評価基準とする採用方法を指します。

つまり、即戦力を重視するよりも、将来にわたって能力を発揮してくれる人材を前向きに受け入れている企業を選ぶことが大事です。ポテンシャル採用を行っている企業であれば、未経験者でも採用される可能性があります。

特にIT業界では、職種によっては人材不足が起こっているため、未経験者でも挑戦しやすいでしょう。

平均年齢はどうか

転職先を決める際は、離職率にも注意をしておく必要があります。一般的に、企業の設立年数と比べて従業員の平均年齢が低い企業は、離職率が高い傾向にあるといわれています。

応募を検討する企業が公開している設立年月日や、従業員の平均年齢を照らし合わせて問題がないかをチェックしてみましょう。

まとめ

まとめ

IT業界の経験がこれまでなかったとしても、エンジニアとして働くことは可能です。しかし、入社後のミスマッチを防ぐためには、あらかじめエンジニアの職種や仕事内容、求められるスキルなどをよく確認しておきましょう。

また、転職先の企業がきちんと研修制度を整えているかや、キャリアパスにどのような考えを持っているかなどをチェックしておくことが大事です。事前準備を整えれば、未経験者でもエンジニアとして活躍できる領域があるので、積極的にチャレンジしてみましょう。


ITに関するお役立ち情報を発信しています。


Written by アクラボ Brandマーケティング Room.

Written by アクラボ Brandマーケティング Room.